【小型二輪MT教習:その12】卒業検定

活動Log

いよいよやってきた卒業検定の日。卒業検定ではあるのですが、場所が変わるわけでもなく、いつものように2輪教習の建物に入ります。

検定前、極まる緊張

入ると既に、柱に本日のコース番号が掲示されていました。

プロテクターをつけていると、初めて見る教官に声をかけられます。

「本日はお二人ですね。あなたは小型のMT、もうお一方は大型MTで間違いありませんね? 上の教室で検定についての説明がありますので、移動して下さい」

そう言われて、部屋を移ります。もうこの時点で手が震えていました。この年齢になってから、ここまでの緊張感を味わうとは・・・。

部屋に入ると、検定の基本事項を説明されました。基本的な検定のポイント、例えば「急制動では、距離をオーバーしたら一発で停止です。問題がなかったら、何も言われませんので、そのまま続きのコースに進んで下さい」といった説明をされました。

この教官が、冗談めかしながら「大きな失敗をしなければ9割は受かるんですよ。問題は1割になるような失敗をしないことです」と、笑顔ではあるのですが少なからぬプレッシャーを所々挟んできます。よほどのことでなければ大丈夫ですよとリラックスさせようという意図は分かりました。分かりましたが、私も大型の方も、どちらも硬直した半笑いで話を聞いていました。

説明が終わった後、卒業検定開始の時間まで待たされます。思い返してみれば10分程度だったのですが、この時間が最も緊張しました。ヘルメットのストラップを締めようとすると、吐き気がこみ上げてきます。慌てて緩めて深呼吸。収まったかなと思ってストラップを締めようとすると、また胃が締まる感じがして・・・。こんな感じをずっと繰り返していました。

卒業検定

時間になり、バイクに向かいます。トップバッターです。

検定中のこと、ほとんど覚えてません!

とにかく緊張していた記憶しかありません。それでも一つ一つを必死になってやってきました。苦手だった坂道発進と急制動もなんとかクリア。一度、なんでもない交差点の赤信号で停車した時にエンストしてしまい冷や汗をかきましたが、慌てて再始動。無線で何かを言われることもなく、なんとか帰ってきました。

建物に戻ると、一番御世話になった教官が「緊張したでしょう」と笑顔で声を掛けてくれました。「手が震えて……」と答えるのが精一杯、その声も震えているのが自覚できます。感想もろくに言えない情けない大人と化していました。

とにかく、途中で中止になることなく走り終えました。

謎の「ワンポイントアドバイス」

開始前に説明を受けた部屋で大型の人が終わるまで待つように言われました。大型の人を眺めると、自分と違ってすべてがスムーズに見えます。おそらくは中型をお持ちだからそれはそうか、と思ったり、自分はどういうふうだったんだろうか、などと思い返そうにもあまり上手く思い出せず。そうこうしているうちに大型の人も検定終了。

なにか指示があるのかな? と思ったら、検定員をやっていた教官があがってきて「終了後のワンポイントアドバイスです」と唐突に言われた後、次のような会話をしました。この時の会話は、緊張からほどよく開放されて集中力が高かったのか、妙によく覚えています。自分がどういう状況がつかめなかったから、余計にそうだったのかもしれませんが。

「ブレーキ苦手ですか?」

「急制動とかそうですね、苦手です、はい」

「低速の時も?」

「実は、前ブレーキと後ろブレーキの配分とかがまったく掴めないまま今日を迎えてしまいました」

「でしょうね。低速でもふらついたりとか、うまくブレーキが使えてないんです。実は、ブレーキはスピードを出したほうがうまくなります。自転車でも、ゆっくり走ってる時にブレーキ掛けると、バタンと倒れてしまいますよね? バイクも一緒で、これからプライベートで乗る機会があったら、もちろん安全なところで法定速度内ですけど、スピードを出して、ブレーキの感覚をつかむようにして下さい。速度が出た状態でそうやって身体で覚えていくことで、低速でのブレーキももっと安定して出来るようになりますから。お疲れ様でした」

あれ、終わり? このアドバイスはなに? 次は同じミスをしないように頑張れ、的な意味なのか??

よくわからないまま「合否は事務所前の黒板にしばらくたってから掲示されます」と言われて、それまで待つことに。

受かったのか落ちたのか、なんだか全然分かりません。

合否発表

指定された場所で待っていると、職員の方が黒板を持って事務室から出てきました。黒板には1行だけ。

「普通自動二輪 1」

あ-、落ちた……。ダメだったかー。

そう思っていたのですが、なんか様子がおかしい。職員さんに「どうぞこちらへ」という感じで促されるも、なんで自分が? とよく理解出来ず。

事務の人が大型の人に向かって「補習の予約とかについて説明しますので」と言い始めたので、ああそうか普通自動二輪(小型限定)か、受かったのか、と気づく。

嬉しさよりも、自分でもよく分からないのですが、なんかちょっと大型の人に申し訳ない気持ちになったりします。初めてお会いした方なのですが、一緒に受かりたかったなぁという気持ちが。そんなことを思ってもしょうがないのですが。大型の人、検定(の一部)を上から見ていたかぎり、途中で中止になったわけでもなく何が悪かったのかよく分かりません。全部見ていたわけでもないので判断は出来ないのですが、完走できても落ちることもあるんだな、と思いながら卒業式へと向かいます。

卒業式

卒業式と言っても、二輪の合格者は自分ひとりだったので、校長先生とマンツーマンです。必要な書類を渡され、免許の書き換えなど今後の手続きの説明を受け、教習所のアンケートなどを書くように促され、ちょっと話をして終了となりました。

終わってから、すぐ帰ればればいいのに、しばらく教習所内の休憩所でぼーっとしてしまいました。

受かった、という実感がわいてきたのは30分ほどたってから。そこでようやく腰をあげて教習所を出ます。

とはいえ強い達成感よりは安堵感の方が強く、じわじわと検定一発合格を噛みしめながら帰途につきました。

長かったのか短かったのか分からない卒業検定が終わりました。